インタビュー#06「生きる源」
高橋あず美 さん
歌手/乗鞍高原出身/30代

Q1.あず美さんの のりくらとの関わりを教えてください
私は生まれも育ちものりくら高原で、中学を卒業するまでここに住んでいました。その後、高校進学を機に松本で下宿をして市内の高校へ通いました。高校卒業後は、東京へ出て音楽の専門学校へ。その後は東京を中心に全国あちこちで音楽活動をしています。
最近、映画Catsの日本語吹替(グリザベラ役)の仕事に携わったことで、プロモーション活動が続いていたのですが、今は久々の休みで1週間ゆっくり、のりくらで過ごしているところです。
最近は、以前よりものりくらへ帰ってくる頻度が増えいていますね。
Q2.子ども時代は、どんな風にのりくらで過ごしていたのですか?
家の周りには自然がいっぱいで、友達とよく外で遊んでいました。虫とりなんかもしましたね。それから、学校行事で毎年していた「わらび採り」は今でもよく覚えています。学校のみんなで必死にわらびを採って、採れたわらびを売り、図書館の本を買う資金にするという本気のわらび採り。今も母校で続いているんですよね。
その小学生の時に「コール乗鞍キッズ」というコーラスグループに入って、イベントの際に歌ったり、中学生になってからは合唱部に入ったりと、その頃から歌が好きでした。
東京で暮らし、仕事をしていくなかで、のりくら高原という環境で過ごしたひとつひとつのことが、当時は当たり前のことだったけれど、すごく貴重な経験だったと、改めて気付きました。ここの環境、ここでの経験が私をつくっているんだと。
Q3.のりくらに帰ってくる頻度を増やした理由は?
東京を拠点に音楽活動をして15年。その間ももちろんのりくらに帰ってくることはありました。のりくらに帰る度にリフレッシュしている自分を感じてはいたけれど、のりくらに滞在する時間が長ければ長いほど、心と体がリフレッシュするということに気付いたんです。東京で長く暮らしていくなかで、心と体が無性に自然を求めている!ということに気づいたんです。



いつも一緒に音楽活動をしている人に言わせると、のりくらにいる時の私は、「目が生き生きしている!表情が違う!」そうです。心と体の状態が表情に自然と出てくるんでしょうね。
それで、もっとのりくらにいたいと思って、のりくらに帰ってくる頻度を増やしました。
今は、東京をはじめ各地で仕事をして、リフレッシュするためにのりくらへ帰ってくるという自分なりのリズムがだいぶつくれてきたかなと思います。
Q4.のりくら温泉郷の魅力はどんなところにあると思いますか?
私は仕事柄、音にとても敏感なので乗鞍高原から聞こえてくる音にとても癒されます。都会は真夜中だとしても人工的な音が聞こえますよね。
でも乗鞍には自然奏でる音がある。鳥の声、風の音、水の流れる音、もしくは無音という音が聞こえてくる。自然が鳴らす音を聞くのが大好きです。
その中でゆっくり呼吸する。空気がおいしいと感じられるのは自然ならではの贅沢な時間だと思います。
私の実家にはすずらん温泉を引いていますが、温泉につかれば、なおさらリセットされますよね。静けさ、澄んだ空気、温泉、自然…そういったのりくらの環境が、子どもの頃は当たり前だったけれど、都会で暮らしたからこそ、その魅力に改めて気づけたなと思っています。


Q5.のりくらは、あず美さんにとってどんな場所だと思いますか?
「生きる源」だと思います。今の私の音楽のルーツ、声、スタイルも全て、のりくらという環境がつくってくれたものだと思っています。原点であり、立ちかえる場所。私自身、のりくらに生かされているという感覚がすごくあります。この地で培ったものを携えて、東京や各地で歌の仕事をしているという、そういうことなんだと思います。
これから考えているのは、ここでしかできない曲作りをしたり、高原内で子ども達に歌のレッスンをしたり、一緒に歌ったり…そんなことができたらいいなと思っています。地元の子ども達にも、この環境のもとだからこそ培えるものを大切にし、それを携えて伸び伸びと力を発揮していってほしいなと思っていて。
そんな風に、私自身がここで培ったものをこの地にお返しできたら良いなと思っています。のりくらでのこれからが、すごく楽しみです。